メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の本当の原因は、肥満ではなく過食にあることが、米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター(ダラス)によるマウスの研究で示された。
メタボリックシンドロームとは、インスリン抵抗性、脂肪肝、心疾患および2型糖尿病などの発症リスクを増大させる因子が複数合併した状態をいう。同大学内科学教授Roger
Unger博士によると、肥満そのものがその原因であると考える人が多いが、心臓や肝臓などの臓器が損傷される原因は脂肪細胞以外の臓器に脂肪が漏出することであり、脂肪分子が脂肪細胞内にとどまれば、有害な漏出は抑えられるという。
今回の研究では、正常なマウスと、脂肪細胞の拡張を妨げるよう遺伝子操作したマウスに過剰な食餌を与え、両者を比較した。その結果、正常マウスは肥満になったが、7週間過食を続けるまでメタボリックシンドロームの徴候はみられなかった。
一方、遺伝子操作したマウスは正常体重を保っていたが、2、3週間で深刻な健康状態の悪化がみられ、正常マウスにわずかな心障害が認められるよりも8週間も早く重度の心障害および大幅な血糖値の増大が認められた。また、遺伝子操作マウスは心臓細胞および膵臓のインスリン分泌細胞に重篤な損傷がみられたほか、余分なカロリーが脂肪細胞以外の組織に蓄積されるために疾患にかかるのが早いこともわかった。
この研究は、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に4月14日掲載された。米国で約5,000万人が罹患するメタボリックシンドロームの正確な原因は明らかにされていないが、運動不足および肥満が主な要因とされている..。
|